男の子だもん

ボクシングの「全日本新人王決定戦」を観戦してきた。

 

準備中の後楽園ホールをどーん。すごい活気だった。

 

俺は趣味でアマチュアボクシングをやっていて、だいたい週に3、4回くらいジムで練習している。あまり機会は多くないけど、スパーリングも試合もする。今回はそのジムの先輩にチケットを奢ってもらって、俺と先輩を含めたジムメイト4人で観にいった。

 

12月23日、後楽園ホールで行われたそれは、クリスマス直前だというのに物凄い熱気で溢れていた。

この大会に出場できるのは、東西で行われたトーナメントを勝ち抜いた各階級のルーキーたち。関東代表は東軍、関西代表は西軍の看板を背負って、その年の日本一を決めるための試合をする。階級はミニマム〜ミドルで、全12試合。

 

新人王にエントリーできるのはC級選手だけなので、1試合のラウンド数が少ない。よってほとんどの選手は序盤から積極的に打っていくことになり、テンポがよくて面白い。そして、これを制覇した選手はいきなり日本ランクに入る。そこから未来のチャンピオンになる可能性も高く、そりゃ応援にも熱が入る。

 

目の前でいくつもの名勝負を観て、その間はひたすら楽しかった。

しかし、こうして日常に戻ってから改めて振り返ると、何故か敗北した選手たちのことが気になっている。彼らはどんな気分でクリスマスを過ごしたんだろう。

 

ボクシングの負けは、重い。

ひとつの敗北から立ち直れずにそのまま引退する選手も多く、負け方によっては、その後の生活に支障が出る場合もある。最近はあまり聞かないけど、死ぬ人だっている。

敗者はマイクを持って喋ることができないから、印象に残りづらい。でも、確実に勝者と同じ数いる。トーナメント形式なら、その何倍も。

勝てば賞状やらメダルやら色々と貰える。でも敗者に与えられるのは、「ナイスファイト」という何とも言えない言葉くらいだ。もちろん選手たちはそれが欲しくて戦ったわけではない。そう考えると、やっぱり報われない努力もあるということを実感する。

 

じゃあ夢に向かって努力するなんてやめたほうがいいのかというと、それは違うと思う。

もし叶えたい夢があるなら、報われないことを意識した上で、どんどん挑戦して、どんどん諦めたらいいと思う。

 

夢というのは呪いのようなもので、それを背負ったまま歩くのは滅茶苦茶キツい。そして、長い間背負い続けた夢を捨てたあとには、大きな「隙間」ができる。

もちろん最初は死ぬほど辛い。でもそれを乗り越えると、その隙間に、何か新しいものを入れることができると気付く。そこには結婚や家庭を入れてもいいし、何らかの使命を入れてもいい。そして、また新しい夢を入れることもできる。

 

ちなみに俺のいまの夢は、申し訳ないんだけど、なんだかぼんやりとしている。

なんとなく方向はわかるから、そっちに向かってるんだけど、まだはっきり「これ」とは言えない。あるいは、実はもう夢なんて見ていないのかも。

 

まあ、あんまり血眼になって探し回ってるとインドとか行っちゃうことになるから、地道に活動の幅を広げつつ、同時に絞りつつ、時間を掛けて組み立てていきたい。

 

それがはっきりとした形になって隙間が埋まるまでは、しばらくからっぽもーどで。

塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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