ぜったい天使くるみちゃんと話したよ

物語には続きがあるんだ。

 

ぽんぽこ24をラストまで見終えた俺は、重たいまぶたを擦りつつ、せわしなくしていた。

CMコーナーに応募した動画をツイートして、YouTubeにもアップ。ブログ記事もついでに投稿。こういうことを一度にやるのには結構集中力を使って大変なんだけれど、どうにか全部やり切って22時頃に晩飯を食べた。

 

食後には出版社の担当編集氏に報告のメールを出す。

それが終わってからは、TwitterでCMを作ってくれた機能美pと戯れたり、ダラダラと過ごしていた。

 

もう寝ようかなと時計を見ると、日付が変わる直前だった。

俺はDiscordの未読を全部消さないと寝床につけない性格なので、ひとつひとつのサーバーを見て回る。

すると、PVHというVtuberオタクの情報交流サーバーで、一件の怪しいポストを見かけた。

 

 

んー? 何だこれは……なりすまし?

しかし、断定するにはまだ早い。添付されていた動画を再生してみる。

 

おいこれ、本物かよ……!!

 

彼女の4年ぶりの帰還は、俺にとってはあまりにもクリティカルなタイミングだった。

Twitterのスペース機能で配信を開始した彼女。

幸運にもハッシュタグが設定されていたので、そこに書き込む。

 

〈あなたいま小説のモデルになってますよ!!〉

 

そう、過去にリアルサウンドテックのインタビューでも語っているように、俺の小説「鈴波アミを待っています」のモチーフは明確に彼女だ。

 

しかし俺の投稿は目に止まっていないようで、続々と集まってくるVtuberたちと楽しく会話を展開していくくるみちゃん。

もう一度だけと思い、少し強めに書き込む。

 

〈誰でもいいのでこれ見てたら「小説のモデルになってますよ」って伝えてください!〉

 

それから数瞬して、くるみちゃんが反応した。

「あ、鈴波アミの作者さんだ。Yahoo!ニュースに載ってた記事見たよ」

 

ああ、ちゃんと本人まで届いていたのか。

俺はそこで、スペースのリクエストボタンを押した。どうしても、直接話しをしたい。

 

くるみちゃんは快く俺をスピーカーに上げてくれて、俺は心臓をばくばくさせながら、伝えるべきことを話した。

「勝手にあなたをモデルにして小説を書きました。ごめんなさい。まさか戻ってきてくれるとは思っていませんでした」

くるみちゃんは「その小説DMで教えて。RTしてあげるから!」と、文字通り天使のような対応をしてくれた。

俺はお礼を言って、すぐにスピーカーから降りた。あまりオタクがいるべき場所じゃないから。

 

しかし、しばらくして困ったことに気が付いた。くるみちゃんのDM、開放してない……。

仕方がないのでメンションで送ってみたが、反応らしい反応は無かった。

 

俺はスペースをじっくり聴きながら機会を伺い、ついには「誰でも上がってきていいよ」という声を聴いた。

すかさずリクエストボタンを押して、二度目の凸。

 

「ごめんなさい、DM空いてなかったので、メンションで送っておきました。後で確認してください」

「あーごめん、もう完全に通知埋もれちゃってる……」

「えーと、いまの僕の固定ツイートが一応ソレなんですけど、」

「わかった。それRTするね!なんて書こうかな〜」

「ありがとうございます!それでは失礼します!」

 

二度目の凸終了。合計で2分も話していないかも。

でも、ちゃんと彼女は機能美pの渾身の動画を引用RTしてくれた。

 

 

ああ、駆け出しの作家にとって、なんとありがたいことだろう。

Twitter動画の再生数は12時間で2.3万回。

Vtuberオタクという狭いターゲットに、思い切り広めてくれた。

ぽんぽこ24の視聴者数と合わせたら結構な数字だし、「ポチった」という報告もいくつか見かけた。

 

ありがとう。

拡散してくれたみんなも、本当にありがとうございます。

それとすみませんでした。

あそこで行かなかったら一生後悔するので。

 

その後はくるみちゃんのスペースを最後まで聴いて、終わってからはモスおじさんが開いていた二次会にも参加した。

幸せな夜だった。

 

俺は、かつての「伝説の夜」を見過ごしてしまった方のVtuberオタクだったから(後から全部聴いたけど)、今回はその当事者の一員になれたようで、本当に嬉しかった。

 

もうこの界隈には何も悔いはないとも言えそうだし、これからも永遠に居座るぞとも言えそうな、そんなふわふわした気分。

でも、まだ俺はくるみちゃんにお礼のスパチャをしていないから、とりあえずそれまでは。

 

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塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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