「加賀美ハヤト3D」がシールドブレイクした2枚の壁

加賀美ハヤトの3Dお披露目配信を観て、久々に「Vtuber最高」となった。

彼は2019年の7月にデビューしたにじさんじ所属のライバーで、これまでに様々な活動をしてきたんだけれど、ごめん、俺はあまりよく知らない。もっと詳しい人が沢山いるから、これまでの遍歴みたいなのは他の誰かに任せる。

 

じゃあなんでそんなに感動したのかって言うと、純粋にエンタメとしての完成度がずば抜けていて、技術的に素晴らしく、なおかつカオスで面白かったから。

このスクショを見てほしい。

 

これがゲストのバンドとボルメテウス・ホワイト・ドラゴン

 

いや、何これ?って感じだけれど、ごめん、俺にもわからない。

どうして瓦礫と化した街で黒子のバンドとボルメテウス・ホワイト・ドラゴンを引き連れて歌うことになったのか、誰かちゃんと説明してくれ。

 

加賀美ハヤト本人が「本気の道楽」と銘打っているだけあって、もうただひたすらにやりたいこと全部やりましたって感じなのかな。そして、それをしっかり実現させた運営と、ここまでがっつり協力してくれたタカラトミーが本当に凄い。

3Dモデルのクオリティ、トラッキングの精度、演奏技術、背景セット、カメラワーク、エフェクト、小ネタ、そして歌。具体的な金額は伏せられていたけれど全体で〇百万円のコストが掛かっていたらしく、それをフルで無料で流したってのが信じられない。

しかし、最高の同時接続者数は13万人を超えて、スパチャも凄い金額が投げられていたようだから、宣伝としてもコンテンツビジネスとしても割の良いものに見えなくもないし、なんなら既に回収できているのかもしれない。(その辺りの推測は流石に難しい)

 

 

さて、今回特に素晴らしいと感じたのは生演奏の技術世界観を無視したコラボという2点。

この記事ではそれを中心に書いていこうと思う。

 

まず、ライブ配信での楽器演奏というのはこれまでに多くのVtuberが挑戦してきたことであって、今回のバンド演奏というのはその文脈上において現状の到達点にある。

 

例えばピアノ。

【Part2】『ときのそら』デビュー1周年 超おめでとう記念公式生放送アーカイブ【えーちゃんもいるしリサイタルもあるよ】

ときのそらのピアノ

 

ギター。

memex live 「FUTURE ZEN LIVE」 at VRChat

memexのVRライブ

 

ヴァイオリン。

【ReVdol!】ライブストリーミング ダイジェスト その9 (日本語字幕付き)

リブドル、カティアのヴァイオリン演奏

 

ベース。

【2周年】新曲もやるよ!新3Dモデルでベース演奏ライブ【花奏かのん】

花奏かのんのベース

 

ビーマニ。

【3Dお披露目】音ゲーマーの手捌き、全部見せます。【#やしきず3D/社築】

社築のビーマニ

 

このように、企業・個人問わず多くのVtuberが挑戦してきたものを、今回の加賀美ハヤトの配信ではおそらくほとんどの視聴者が完璧に納得する形で表現しきったのが凄い。ギターの運指がはっきりと見え、ドラムのシンバルは正しく揺れる(電子ドラムと同期している?)

これまで長くVtuberを追ってきた者ほど、その映像を見たときの驚きは大きかったと思う。俺はちょっとデカい声が出た。

改めて加賀美ハヤトのバンド

 

 

※ちなみに、ライブ配信ではない「動画」での楽器演奏というのは技術的に難しいものではなく、単純なアニメーションだけでも実現可能だったりする。俺も何度かやったことがある。

半熟UFOキリタニのコントラバス

 

※2Dでそれをやるのは動画でも凄いです。

鷹森ツヅルの自己紹介 (的)ソング – Official Video

鷹森ツヅルの2Dギター演奏

 

 

演奏に関しては一旦このくらいにしておいて、続いてコラボについて。

 

今回”超大型ゲスト”として登場したのはボルメテウス・ホワイト・ドラゴン(以下、BWD)

「キズナアイでも呼ぶのか?」とか思っていたらまさかのデュエルマスターズからの参戦。

 

満面の笑みが素敵ですね。

 

 

これまでにVtuberと同じ空間に招かれた創作物的なキャラクターというのは(個人のそれを除いて)あまりいなくて、例えば有原翼だったり、すーぱーそに子だったり、シスプリの可憐だったりと、”Vtuberらしい挙動ができる者”に限られていたし、それが限界なのかと思われていた。

しかし、今回の配信でその先入観は完全にシールドブレイクされ、Vtuberの新たな可能性を広げたという意味で、とてつもなく大きな意義があったように思う。

BWDは決して一度限りの必殺技というわけではなく、「BWDが出せるなら〇〇も出せるかもしれない」というひとつの基準として今後扱われることになるように思う。

 

※ちなみに、”被せる”タイプのコラボだとかなり古くから実現している。

世話やきキツネの仙狐さんと料理対決!【029】

 

※かなり特殊なイベントなので例外的だが、「ヤッターマン」と「北斗の拳」のコラボというのはあった(ケンシロウのみVtuberとして活動していない)

【タイムボカンシリーズ ヤッターマン×北斗の拳】コラボ企画予告映像

ヤッターマンと北斗の拳のキャラクターが並んでいるのは画的にかなり面白い。

 

※他にも「Vtuberが招かれたコラボ」なら色々と前例があるのだけれど、ここでは割愛する。

 

 

今回の加賀美ハヤト × BWDのコラボに関しては、タカラトミーは既存の3Dモデルを貸し出しただけであり、それを13万人のオタクがリアルタイムで見ていたわけで、これはデュエルマスターズの宣伝として見ても決して悪くないものだったと思われる。

また、加賀美ハヤト本人は定番のグリーンバックでのスクショタイムよりもBWDを選んだわけで、ライバーの希望に沿ったもの(それは夢とも呼べる)が結果的にファンを喜ばせ、数字も出したのなら、それ以上はないだろう。

 

日本のTwitterトレンド:ボルメテウス

 

Vtuebrというのは、せっかくリアルとフィクションの境界が曖昧な世界にいるのだから、今後もこういったコラボは歓迎したいと思うし、一度そのハードルを超えてしまえば「むしろ何で今まで無かったんだ」と思えるようになるだろう。個人的には、そっちの世界を見たい。

 

しかし正直なところ、演奏にしてもゲストにしても「あんまりコストがインフレし過ぎると後が怖いな」という見方ができてしまうのも事実で、そういった意味では今回超えてしまったハードルというのは不可逆的だし圧倒的なんだけれど、にじさんじって「どうしようもなく今を生きてる」から、もう行けるところまで行けよって感じで応援したいところ。

また、他の事務所だったり個人勢にとっても、決して”超えられない壁”ってわけではないと思うので、是非切磋琢磨してこの界隈をこれからも盛り上げてもらいたい。

 

【超大型ゲスト出演】代表取締役、本気の道楽【 #加賀美ハヤト3D 】

塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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