ラブ駆動インターネット経済

以前このブログで取り上げたYouTubeの新機能「拍手を送る」について。

ざっくり説明すると動画に対する投げ銭なんだけれど、これが正式に実装されたらしい。

 

※2月に書いた記事はこちら

 

昨日のアップデートによって全ての視聴者にこのボタンが表示されるようになった。

まだ利用できるチャンネルは少ないが、先月くらいから結構なペースで開放されていっているようなので、来年くらいにはメンバーシップと同程度の普及率になっているかもしれない。

 

この拍手機能というのは、上のツイートのリプ欄にも書いたんだけれど、個人的にかなりデカい改革だと思っている。

そこで、今後のYouTubeコンテンツがどういう方向に進んでいくのかというのを改めて考えてみる。

 

まずはそのヒントとなりそうな”投げ銭”に関する情報がつい最近話題になっていたので、これを見てほしい。

スーパーチャット獲得金額ランキング。(2020/9/10 PLAYBOARDより)

1.桐生ココ 2.潤羽るしあ 3.縦横研究所(海外) 4.兎田ぺこら 5.湊あくあ 6.宝鐘マリン 7.葛葉 8.M.S.S Project 9.UnitedGamer(海外) 10.因幡はねる

 

全世界のトータル金額ランキングで、10チャンネル中7チャンネルが日本のVtuberである。

そして、見る人が見ればすぐにわかると思うんだけれど、この順位はチャンネル登録者数やメディア露出の頻度とは正比例していない。世界1位の登録者数(1億600万人)をほこるPewDiePie氏が44位なので。

 

ここに並んでいるVtuberの特徴をざっくり述べると、まあライブ配信が多いのは勿論なんだけれど、ファンに死ぬほど愛されてるよねという面子が揃っていることがわかる。(申し訳ないけどこれ以上の解説は割愛する。滅茶苦茶な文字数になってしまうので)

そして、おそらく日本国内においては「拍手を送る」でもこれと同じ現象が発生する。

 

これまでのインターネットの基本ルールって、「目立つコンテンツが儲かる」という感じのPV数重視の傾向があって、だからYouTuberはどんどん派手な企画をやるし、中には他人を攻撃するような者も現れた。そういった環境が、拍手機能の登場によってちょっとずつ変わっていくんじゃないかと期待している。

投げ銭という文化が完全に普及すると、上記のスーパーチャットランキングと同じように、「愛されているコンテンツが儲かる」というファンとの関係性重視の環境になっていくんじゃないかなと。

 

そして、ファンに愛されて投げ銭が飛ぶ動画コンテンツは、おそらくYouTubeのアルゴリズムに優遇される。(要するに”おすすめ”に出やすくなる)

これは実装する側の気持ちに立てば簡単にわかる話で、全く同じスコアの動画が並んでいた時に、「片方は投げ銭が期待できないが、もう片方は投げ銭が期待できる」という状況なら、間違いなく後者を上位に表示する。何故なら手数料でYouTubeが儲かるから。

つまり、ファンからしたら好きな動画のスコアを底上げすることができるし、投稿者はより多くの人に動画を見てもらうことができるし、YouTubeは手数料で儲かる。というウィンウィンウィンな関係になる。

推しがいる人には、この価値がよくわかるはず。

 

それと、もうひとつ重要なポイントとして、金が貰えるとクリエイターはマジで喜ぶ。

目に見えて応援してくれる人がいる。しかも口だけじゃない。というのは、たとえそれが200円だとしてもモチベーションになるし、動画制作を続ける動機に繋がる。

単純に「〇円だから〇再生分」という計算もできるんだけれど、そういった精神的な面から見ても、ダイレクトに金銭が受け取れるシステムというのは有り難い。

 

 

ちなみに、YouTubeはこの改革をかなり本気でやっていて、それはこのアイコンの形状から見て取ることができる。

アイコンが手のマークからハートマークに変わっているのだ。

初期のテストで実装された時は「手のマーク」だったのが、今年の8月から「ハートマーク」に変わっているのだ。

ハートと言ったらそりゃもうSNSにおいて最重要な記号であり、TwitterでもInstagramでもTikTokでもそれはそう。よっぽどのことがないと変更できないし、それをここで使うんだっていう。

これは、状況によってはインターネット全体の価値観が変わる予感がする。

 

 

……とまあ色々書き連ねてきたけれど、世の中には狂った思想を持った人々も沢山いるし(見方によってはVtuebrオタクもそう)、この流れでYouTubeやインターネットが健全な場所に変わるかというと、すぐにはそうはならないと思う。

だけど10年後とかに 、「そういえばあの拍手機能がついてから流れが変わったよね」って言えるかもしれない、そんなアップデートだったと個人的には思っている。というか、そう信じたい。

 

まあとりあえず、推しに拍手し過ぎて破産しないように気を付けましょうね〜

 

■この記事の続きはこちら(Google考察シリーズ)

YouTube、お前っ”ホームページ”になろうとしてるのか……?

塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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