n回目の「もう一度だけ」

「君の名は。」が地上波で放送する。

きっと昔の俺に伝えても信じないと思う。

 

「いま2018年の1月3日なんだけど、夜9時からテレ朝で新海誠の映画が放送される。しかも主題歌がRADWIMPS」

 

「だれお前?」

 

はい。

 

「君の名は。」は、よく「奇跡の物語」という書かれ方をするんだけど、ストーリーに負けず劣らず、そういうメタ要素が泣ける。あの新海誠があんなラストシーンを書いて、あのRADWIMPSがアニソンバンドとして世間に認識された。これは奇跡としか言えない。

(でも個人的には、あの一連の現象は必然の出来事だったと思っている。それについてはこの記事で書いたので割愛)

 

改めて2016年を回顧してみると、上映開始前から何か予感のようなものがあったらしい。

 

 

同じ映画の予告編を毎日観るなんてどうかしてるけど、あの90秒にはそれだけの魅力があったと思う。ありがちな「予告編は面白かったんだけど……」ということもなく、本編もしっかり面白かった。

公開初日の朝イチで観て、混乱したままの頭で書いた文章が残っている。

 

 

なんか微妙にディスってるようにも滑ってるようにも読めるんだけど、これは本気で感動している。だってあの新海誠だもん。これまでスライダーやらフォークやらチェンジアップばっかり投げてたのが、いきなり豪速球のど真ん中ストレート。キャッチャー野田洋次郎。そんなの反則でしょ。

 

それから1年以上かけて、何故自分があの映画を観て泣くのかを死ぬほど考察した。本編は何回観たか覚えてないし、キャラクターのイラストを描いてみたり、主題歌の演奏動画を作ってみたり、イベントに行ってコスプレまでした。

もうほとんど哲学の領域まで踏み込んで、最近ようやく理論立てて説明できるようになってきたように思う。

 

いまは、自分のコンテンツを作りたいという気持ちが大きい。それはアプリだったり、動画だったり、文章だったり、とにかく何でもいいから作りたい。

多分、「君の名は。」によって、俺の消費者としての人生は終わったんだと思う。もう「観る」という行為にだいぶ満足してしまった。

 

しかし、どうやら新海誠はいま新作を作っているらしくて、言うまでもなく興味がある。正直もう面白いもの作らないでほしい。

なんて言いつつ、また毎日予告編を観て、公開初日に映画館へ行く未来が見える。もしその頃の俺がこれを読むことがあったら、感想とか伝えに来てくれ。

 

「おい、新海誠の新作は「君の名は。」を越えた。あと30回は観たいから金を貸してくれ」

 

「だれお前?」ってしらばっくれるけどね。

 

塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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