短い文章ほど読むのが難しい

今更語るまでもないんだけれど、なんとなく最近インターネットでこの問題に直面することが増えてきたから一応書き留めておくことにする。

タイトルの「短い文章ほど読むのが難しい」というのは文字通りの意味である。

 

……うん、これだとやっぱり短すぎるので少し文章を増やして説明する。

タイトルの「短い文章ほど読むのが難しい」というのは、

短い文章というのは長文に比べるとそれを修飾する語句や、それに伴い見えてくる文章のバックグラウンドの情報量が少なくなるため、筆者の意図、つまり「本当の意味」を読み解くのが難しい。

という意味である。ここまで書けば流石にわかったと思う。わかっていてほしい。頼む。

 

上記の例のように、文章を少し長くするだけでも読解というのは容易になる。しかし、それをしない、あるいはできないケースがここ10年ほどで急激に増えてきているように感じる。

 

思い当たる要因がいくつかあって、ひとつはスマホとTwitterの存在が大きくなりすぎたこと。

Twitterには「全角140文字まで」という制限がある。にも関わらず、その中で政治だとかビジネスだとかの小難しい話をするようになってしまった。端的に言って、そういうのには向いていないサービスだと思う。それにスマホというデバイスも、難しい話をするのには向いていない。ちょっと情報ソースを確認しに行くだけでもひと手間だし、そのURLをコピペして追記して、なんてのを小さいスクリーンとソフトウェアキーボードでやるのは非常に面倒だ。その結果、Twitterには”文章の内容を読み取れていない人”が目立つようになり、バズっているニュース系ツイートのリプ欄にはちょっとした地獄が見られるようになった。

 

もうひとつの要因は、2chが廃れたこと。

俺と同じかそれより上くらいの、いわゆるネット民の遊び場といえば、かつては2chだった。2chは国内最大の掲示板群だが、一部の掲示板(びっぷらとか?)を除いて、基本的に殺伐としている場所である。よって、少しでも文章を読み取れていないレスには、「アスペ」「文盲」のような罵詈雑言が叩きつけられ、ある意味それによって一定以上の秩序が守られていた。また、話が本筋から逸れてしまった時の「スレチ」というワードにもかなりの力があり、それを手伝っていた。

この、ある種の洗礼のようなものを受けずに、Twitterからインターネットに入りました。という人は、たとえ文章を読み違えていたとしても、誰もボコボコにしてくれない。結果、何故か自分だけリプライがもらえなかったり、一瞬でブロックされてしまったりして、文字通りの「可哀想な人」が完成する。バズっているニュース系ツイートのリプ欄の地獄は、そんな可哀想な人々によって形成されているのかもしれない。

 

以上のことから、インターネットで不幸を避けるテクニックとして、「大切なことはなるべく長文で書く」というのを推奨したい。最近は俺の周りでもブログや「note」を始める人が増えてきているようだけれど、これはいい流れだと思っている。また、別媒体で書き綴った長文を画像に変換してツイートする手法もなかなかいい。

 

 

さて、ここまで「短い文章によって引き起こされる問題」の原因を探ってきたわけだけれど、実は非常に近いところにもう一つ大きな問題がある。それは、「長い文章ほど読むのが難しい」というものである。上記で挙げた”スマホの小さいスクリーン”というのも関わってはいるが、こちらに関してはもっと根本的な脳の働きの方に原因がありそうだ。

 

長文が読めない人間には2パターンいる。読み切る者と、脱落する者。

脱落する方は話が早い。基本的に、「よくわからなかった」という感想しか残らず、誰かを攻撃するようなことは珍しい。一方で、「読み切った上で実は読み取れていない」という人間は、何かしらの勘違いをしてしまうので厄介だ。これについては、もうどうしようもない。この世界はそういうものだから。

 

「読み切った上で実は読み取れていない」という場合、長文短文に関わらず、自分ではそれに気が付かない。だから、いまこの文章を読み切ろうとしているあなたが何か大きな勘違いをしている可能性も十分にありえる。

あなたが何かの間違いで「アスペルガーの人が可哀想だから謝ってください!」みたいなメッセージを送ってこないことを祈っている。

塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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