夜になると眠る人

すごく久しぶりに朝まで遊んだ。

地元の小学校の同級生7人でだらだらと飲んで、ぐだぐだとカラオケして、ぱらぱらと解散。

4年ぶりに顔を見たやつがいたり、結婚したやつとその嫁がいたり、家が燃えたやつがいたりしたけど、これと言って特別なことは起きずに、非常にくだらなく尊い時間を過ごした。

 

酒の入った状態で深夜にカラオケすると、まるでミステリー小説の被害者のように、一人、また一人と睡魔に引きずり降ろされていく。その密室には別に探偵とかいないので、脱落者は放置される。次は誰が消えるのか。

 

帰る直前、生き残った3人だけでマイクを回していて、あることに気付く。

 

こういう状況で、他人より先に眠ったことがない

 

人間は夜になると眠くなる。これは地球は丸いとか、ガッキーは可愛いとか、自称ドSはただの自己中っていうのと同じくらい当たり前のはずなんだけど、どういうわけか俺には該当しない。

 

何故か。

俺が人間じゃないという可能性は捨ててくれ。

ミルクティーを飲んではいたが、別に毎回ではない。

集合する前にたくさん眠っていたというわけでもない。

眠れないほど不安なことがあるというのは多分関係ない。関係ない

犯人は別の所に潜んでいる。

 

ひとつヒントを出すと、俺は授業中によく眠る生徒だった。むしろ、ちゃんと起きていたことがあまり無い。卒業アルバムの「授業中の風景」みたいな見開きページの中で、一番前の席にもかかわらず唯一眠っているのが俺だ。

F先生、その節は本当にすみませんでした。今度殴られにいきます

 

もう流石に見当ついたと思うけど、うん、ただの夜行性である。

ちょっと格好つけた言い方をすると、「クロノタイプが夜型」

このクロノタイプというのは遺伝子の問題で、ほとんど生まれつき決まっているらしい。よって後から変えるのは難しい。それに、あまり理解していない人が多い気がする。

つまり、随分と生きづらい。

 

もし「自分は昼間起きていられないダメ人間で死んだほうがいいのかもしれない」とか勘違いしてる人がいたらそっと伝えてあげてほしい。

「クロノタイプを探れ」

ほら、もう一気に厨二病臭い。

 

ちなみに、人口の1/4くらいは夜型の傾向があるので、それに対応していない社会のシステムが悪いとも言えるかもしれない。単純に考えると1/4の企業や学校は始業時間を夜にするべきだもの。色んな事情があるからそうはならないけれど。

 

あれ、ちょっと待って。

1/4が夜型ということは、40人クラスなら10人という計算になって、俺だけ居眠りしているというのはおかしい。他の9人はどうにかして眠いのを我慢しているんだから。

 

F先生、やっぱり俺はダメ人間なんでしょうか。

塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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