YouTubeの新機能に「拍手を送る」

YouTubeの一部チャンネルに「拍手を送る」という機能が新たに追加された。

これは動画に対する投げ銭のようなもので、1回につき200円〜5000円の支援ができるようになっている。完了すると画面下でちょっとしたアニメーションが再生されるが、スーパーチャットのような、「誰がいくら投げたか」という情報は視聴者には表示されない。

※実装当初の金額は200円固定だったが、2020年9月から金額を選択できるようになった。

※機能が有効になっているチャンネルでも動画単位で収益化が停止している場合にはボタンが表示されない。

 

これが新しく追加されるボタン。シンプルだけど大きくて目立つ

金額の選択画面

画面下になにやらにぎやかなアニメーションが再生されるんだけれど、このセンスは日本人にはウケなさそう。

 

ざっくり調べたところによると、2019年の12月頃から少しずつ開放されていっている機能らしく、毎日YouTubeに入り浸っている筆者でも今日になってようやく発見したくらいなので、開放されているチャンネル数はかなり限られていると思われる。

YouTubeが段階的に収益化の機能を開放していくことは珍しいことではなく、「メンバーシップ」「スーパーステッカー」といった機能に関してもチャンネルによって有効にできたりできなかったりする。

 

ただ、今回の「拍手を送る」に関しては上記の2つと大きく異る点があって、それは動画投稿勢がその恩恵を受けるというところ。以前から「プレミア公開」という動画の公開方法でスーパーチャットを受け取ることはできたが、プレミア公開には大きな欠点があり、リアルタイムで動画を視聴していた者しかコメント・スーパーチャットを送ることができなかった。あとカウントダウンの音がデカい。

今回新たに加わった「拍手を送る」によって、視聴者は過去に投稿された動画に対して投げ銭することができるようになる。この変化は、動画投稿メインで活動しているクリエイターにとっては有り難いものになるだろう。

また、この機能によって「大勢に見られる動画が儲かる」という時代が終わり、「面白い動画が儲かる」という流れにシフトする可能性がある。これは、視聴者にとっても喜ばしい変化だろう。

 

ひとつ気になる点は、どうしてこのタイミングでそれを開放したのか?というところだが、これに関しては大きな心当たりがある。それはChromeブラウザが8月に実施する仕様変更によって「広告ブロック機能」の実装が始まるということだ。

これによって、視聴者が迷惑だと感じるような一部の動画広告が表示されなくなるが、その規制の対象はYouTubeも例外ではない。Chromeブラウザを開発しているGoogleはYouTubeの親会社なのに。

これには深い事情があって、発端となったのはGoogleも参加しているオンライン広告改善のための団体「The Coalition for Better Ads」の意向。この巨大な連合の取り決めに、Google(YouTube)だけ歯向かうというわけにはいかなかったのだ。

 

YouTube全体の広告収益というのは年間約1.6兆円と公表されていて、Alphabet社(Googleの親会社)のトータルの収益が年間約17.5兆円なので、全体の1割はYouTubeの広告からということになる。

これが詳しい内訳だけれど細かいので読まなくていい

※単位はミリオンドル

 

広告ブロック機能の仕様上、これによって直ちに損失が発生するとは断言できないが、ウェブ広告を規制する方向に世の中が進むのはGoogleにとってはかなり手痛いはずで、更に言うと、動画クリエイターの目線から見ても、収入源が部分的にでも無くなってしまうのは辛い。

だからこそ、このタイミングで「拍手を送る」という施策の実行に踏み切ったのではないか、というのが筆者個人の見解だ。YouTubeにとって一番大きな問題はクリエイターの流出であり、それを少しでも食い止めるというのが狙い。そして、それはおそらく両者にとって得となる喜ばしい判断だろう。

 

「YouTubeは広告よりも視聴者から直接金を取る方向に行きたいんじゃないか」という主張は当ブログで2年ほど前に唱えていた説だが、まさかこういう流れで実施されるとは思っていなかった。

YouTubeがシタイコト

 

最近はライブ配信勢が優遇されるような仕様変更の多かった現在のYouTube環境で、動画投稿勢にとって喜ばしい新機能の追加。筆者はそれを実施してくれたYouTubeに拍手を送りたい。

 

■2020/9/10追記

この機能について長めの考察を新しく書きました。

ラブ駆動インターネット経済

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