いちからってエンタメ業界のYAMAHA目指してんの?

Vtuberグループ「にじさんじプロジェクト」の運営、いちから株式会社がリアルアイドルのプロデュースを行うと発表した。

グループ名は既に決まっていて「SLEE / スリー」というらしい。現在、その1期生メンバーを募集している。3次元だから”three”から来ているんだろうけれど、Google翻訳にそのまま突っ込むと”slew”と間違われて「殺した」と誤訳されるのがおもしろポイント。多分、キーボードのeとwが隣なのが悪いので、みんな打つ時には気をつけよう。

 

もしかして:slew?じゃないんだよなぁ……

 

特設サイトによると、「次世代を創るアイドルYouTuber候補求ム!」とのことで、YouTubeを中心に活動する動画配信主体のアイドルを目指している模様。<こんな人を求めています>の項目のトップに「にじさんじのような活動をしたい」が挙げられているし、特別審査員に月ノ美兎静凛が入るらしく、まぁ”そういう感じの人”を集めようとしているのだろう。ただし、いちからCEOの田角氏はTwitterで「国民的アイドル」を目指します!と宣言しているので、完全に色物で固めるというわけでも無さそう。

 

 

ここで「にじさんじで得た運営ノウハウ等活かしながら〜」と書いている通り、本当にYouTube主体でやっていくなら、Vtuberのプロデュースと比較しても業務にはあまり大差ないように思える。丁度1年ほど前にジャニーズ事務所がバーチャルアイドル「あすかな」を開始したが、リアル→バーチャルと比べると、その逆の方がなんとなく楽に感じる。

コスト面で考えても、フェイストラッキングで使用するiPhone、Live2Dモデル、3Dモデル、VR機材、モーションキャプチャー機材などが必要ないので、おそらく安上がりになるだろう。

 

しかし、懸念は数え切れないほどある。

例えば、Vtuberと比較してファンアートなどの二次創作の盛り上がりは全く期待できないだろう。そこに関しては、ひょっとしたら公式から何かしらのアプローチをして、「二次創作推奨」ということになるかもしれない。もし俺がプロデューサーだったら、とりあえず公式イラストは用意するかな。そういうのに関しては秋元康プロデュースの「22/7」が走りのような存在なので、参考になるかもしれない。

あとは、これを言ってしまうと元も子もないけれど、みんな本当に見るの?という点。Vtuberの視聴者層とどの程度被っているのか、あるいは被っていなくても平気なのか、見当もつかない。

 

ただ、いちからはそういう市場調査などを行った上で、「行ける」と判断したからやるのであって、何かしらの勝算があるのだろう。(そう信じたい)

もしかすると最初は、ニコ生のMCなどでお馴染みの百花繚乱や、タブレット端末を抱えるだけの存在「虚無おじ」などのように、にじさんじのサポート役としての活動がメインになるのかもしれない。その場合、俺の大好物である「2次元 × 3次元のてぇてぇ」が期待できるので、そこは全力で応援したいところ。

 

これが虚無おじ。その圧倒的な存在感が圧倒的に無駄

 

 

ところで、インターネット歴が長い人間なら「YAMAHAのコピペ」というものを知っていると思う。これがその全文である。

 

ヤマハの歴史
・最初は輸入ピアノの修理→楽器関係作る
・楽器やってた流れで電子楽器も作る→DSPも作る
・DSPを他に利用しようとして→ルーター作る
という流れで、楽器、電子機器、ネットワーク関係の製品を作るようになった。

じゃ、なんで発動機や家具とかも作ってるかというと、

・ピアノの修理で木工のノウハウが溜まる→家具を作る→住宅設備も作る
・戦時中に軍から「家具作ってるんだから木製のプロペラ作れるだろ」といわれて戦闘機のプロペラ作る→ついでにエンジンも作る
・エンジン作ったから→バイクも作る
・エンジン作ったから→船も作る→船体作るのにFRPを作る
・FRPを利用して→ウォータースライダー→ついでにプールも作る
・プールの水濁ったんで→浄水器作る
・失敗作の浄水器で藻が大繁殖→藻の養殖始める→バイオ事業化

(出典不明)

 

このコピペ、真実とそうでないものが混ざっているのだけれど(ヨッピー氏のインタビュー記事が詳しい)、いまのいちから社を見ているとどうしてもこのコピペを思い出してしまう。

というのも、もともといちからはVtuber事業ではなくアプリ開発から始まった会社で、そこからなんやかんやあって2019年には実質的な覇権を取ってしまったようなところだからだ。YAMAHAのコピペ風に書いてみると……

 

いちからの歴史
・iPhone Xの機能”Animoji”を使った「にじさんじアプリ」を作る
・その公式ライバーとして8人の初期メンバーをデビューさせる
・メンバーがどんどん増える→「にじさんじプロジェクト」というVtuber事務所になる
・その過程で3D化するライバーが出てくる→AR・VRイベントに出るようになる
・VRに対応したのでAbemaTVや地上波の番組にも出るようになる
・リアルでも単独で大規模な音楽ライブなどをやるようになる
・全国ツアーやメジャーレーベルからのデビューが企画される(いまここ)

それらと並行して

・海外展開を進める(中国、インドネシア、インド、韓国)
・VRのノウハウがある→VRコミュニケーションサービス「ユメノグラフィア」を作る
・リアルライブのノウハウがある→リアルアイドル「SLEE」のプロデュース←NEW

 

みたいな感じかなぁ。

あまりにも濃密なのでどこか抜けがあるかもしれないけれど、この部分の著作権は完全に放棄するので好きに修正したりどこかに貼ったりしてもOKです。一切の責任は負いませんが。

 

普通のスタートアップ(ITベンチャー)って1サービスに集中してやることがほとんどだから、こういう会社ってのがそもそも珍しいし、個人的には「SLEE」も応援したいと思っている。

ただ、俺はあくまでVtuberのファンなので、そっちに悪影響が出るようなら速攻で損切りしてほしいとも思っている。田角CEOがいま何を目指しているのかさっぱりわからないけれど、どうか今後もVtuber業界を引っ張っていってほしい。

 

最後に、懐かしい動画をひとつ貼って〆る。

 

 

随分遠いところまで来たなぁと思ったけれど、これ一周回ってないか?

塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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