YouTubeは動画投稿サイトでは終わらない

YouTubeがブラウザからのライブ配信に対応した。

これまではPCから配信するとなると、OBS等の外部ツールを使ってやや複雑な設定をしないといけなかったんだけど、それがブラウザ単体で可能になったという話。WebRTC(ブラウザ上で動画や音声を共有するための規格)を使っている模様。

昨日実際に使ってみたんだけど、とりあえずカメラに向かって話すだけならスマホからの配信と同レベルで容易だと感じた。遅延もかなり少なくていい感じ。今の所デスクトップのキャプチャーには対応していないんだけど、WebRTCというのは画面共有の機能も実装できるから、おそらく時間の問題だろう。

 

「YouTubeがライブ配信に力を入れている」という話はこの記事で書いたんだけど、想像していたよりも急ピッチで実装が進んでいる印象。

Androidスマホのカメラアプリに直接ライブ配信機能を付けてしまうという話も出ているらしく、その本気度が伺える(マジで?)

 

 

さて、上の記事では収益に関することに絞ってYouTubeの未来について想像してみたんだけど、最近のYouTubeではそれとは全く関係ないところでとてつもなく大きな変化が2つあった。今回はそれについて書いていこうと思う。

 

まずひとつ、タイムライン機能の強化。

これまでYouTubeのタイムラインには動画しか並んでいなかったんだけど、去年からテキストや画像を投稿できるようになった。ついでにアンケート機能まである。

 

もうひとつ、「アクティビティ」の実装。

なんの話かというと、アプリでいうと右から2つ目のタブの中にある機能。

アプリのUI(ボタンの配置とか)を考える時に、タブに並べる機能をどうするかというのはかなり悩むところ。何故ならせいぜい5つくらいしか前面に出せないから。そして、その内のひとつがこれ。いまの所その中身は「共有」「お知らせ」に分かれている。

 

もうこの2つだけでピンとくる人が多いと思うんだけど、結論はもう少し引っ張る。

 

以前この記事で書いたことなんだけど、Googleは「全ての情報に簡単にアクセスできるシステムを作り上げる」という野望を抱いている気がする。そして、その「全ての情報」の中には、特定の個人の情報というのも含まれている。

例えば、「密かに想いを寄せているあの子がいまハマっている作品」みたいな情報は、この世で最も価値の高い情報のひとつと言える。

だからGoogleは一時期、「Google+」というSNSに力を入れてみたり、更に言うと、YouTubeとGoogle+の統合計画まであった。

具体的には、YouTubeのアカウントとGoogle+のプロフィールを結びつけてFacebookのような実名制にしようとしていた。しかし、それは失敗に終わる。

 

そして現在。

どういうわけか、流行っているSNS(Facebook、Instagram、Twitter)は、どれも動画共有機能を備えていて、それはサービス滞在時間を伸ばす要因の中で大きなウエイトを占めている。YouTubeがやりたかったこと、ずっとやってきたことを、他のSNSが先行して実現しているという状況だ。

これには主に2つの原因があると思っていて、ひとつは、「Google+に拘りすぎた」という点。あのSNSは色々とダメだったから、結果論ではあるけれど、基盤として利用するにはあまりにも弱かった。

そしてもうひとつは、シンプルに「早すぎた」という点。上記のWebRTCもそうだけど、多くの国では、「スマホのインカメで簡単に動画配信&アップロードができる」という状況になるまで、結構な時間が掛かった。他のSNSはそれを見届けてから配信機能を実装したから上手くいった。という、ただそれだけのこと。

 

で、ようやく結論。

ひとことで言うとこうなる。

 

GoogleがやっているのはSNSへの再挑戦。

あるいは、Google+の再構築。

 

ごめん、ふたことになった。

 

テキスト投稿も、アンケートも、お知らせも、共有(メッセージ)も、全部SNSの標準機能。

そしてここにきてライブ配信機能の強化。

そうだよね、GoogleがSNS諦めるわけないよね。

 

Googleという会社はコミュニケーション関連のサービスにずっと力を入れてきたんだけど、最近だと「Google Allo」「Google Duo」を立て続けにリリースしたり、正直、「何がしたいんだ?」という状況だった。Gmailとハングアウトの連携すら、俺にはよく理解できなかった。

しかし、これらのサービスで培ったノウハウこそが、これから実を結ぼうとしているのかもしれない。

 

最終的には、他のSNSでやってきたことは全てYouTube内で完結できるっていうところを目指してるんじゃないかな。

投稿者が動画の中で他社サービスのフォローをお願いしてる状況って、どう考えても嫌だもの。

 

ここまでの流れを見ていると、Google+という失敗を抱えていることもあって、かなり慎重になっているとは思う。

ただ、何度も転んでる奴ほど強いから、ひょっとすると、ひょっとするかもしれないね。

数年後に答え合わせしましょ。

 

■この記事の続きはこちら(Google考察シリーズ)

YouTube、お前っ”ホームページ”になろうとしてるのか……?

塗田一帆(ぬるたいっぽ)

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